サイトギ は令和二年が令和の初め

旧暦1月6日に岩手県二戸市の似鳥八幡宮にて行われる春の例大祭が「サイトギ」である。

という事は新暦でも旧暦でも令和二年になっているのだけれど、令和は五月から始まっているので、令和二年になっても一月〜四月までは令和初で紹介するものが多かろう。

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では、当ブログでは初紹介となる令和初のサイトギを紹介していこう。


まずは「サイトギ」について説明していかねばなるまい。
と書き始めたはよいが、ここでいくつかの資料を引っ張りだして新たに解説を書き下ろすのも大変な手間なので、以前にどーなのよふぃるむ取材班がまとめていた説明を使用・若干の加筆や変更を加える事により省力化を図りつつ、写真や動画は令和2年のものを使いながら紹介する建付としよう。
では以下、どこかで読んだかもしれない本文で読み進めていって下さい。(そうか、この技というかこの手があったか)





二戸市の御返地には似鳥八幡神社がある。
元々は糠部三十三観音巡札の札所として似鳥観音と称されていたが、明治の廃仏毀釈の流れからか、誉田別命を祀る八幡神社となった神社である。
この似鳥八幡神社で旧暦一月六日に行われる春の例大祭が「サイトギ」である。今日は通常カタカナ標記で「サイトギ」と書かれることがほとんどだが、どうやら「祭齊」や「紫燈木」と表記されていたもののようだ。

サイトギの起源についてはそれを示す文献が無いので判っていないが、今からおよそ450年前の天正五(1577)年の棟札が見つかっていることから、400~500年前後の歴史があるものと推定される。

内容は「オコモリ」「水ごり」「裸参り」「火祭り」にわかれ、旧暦で年明けしたばかりのこの時期に、オコモリの様子とサイトギの火の粉の方角という2つの要素によりその年の作柄を占い五穀豊穣無病息災を祈願する祭りである。また豊作祈願ばかりではなく、夏のヤマセと冬の寒さの受ける中山間地にあっては、病や飢え、自死や交通事故などで亡くなった御霊を鎮める祀りという側面もあるようだ。

このサイトギは、二戸市無形民族文化財、国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民族文化財(選択無形文化財)に指定されている。



それではそれぞれの内容についてもみてみよう。



オコモリ

お米盛りから由来しているとのこと。米・麦・ヒエ・アワ・キビを混ぜて炊いたものを剣状に五つ盛り、一晩凍らせたものを旧元日(以下旧暦表示)に神前に供える。
元日に凍らせたオコモリが六日のサイトギでどういう状態になっているか、溶けていたり虫がついていたりするのは凶占ということになる。
*今回は見る機会がありませんでした。





辺りの日も落ちすっかり暗くなった頃
拝殿では神楽奉納に続き、従事する男衆のご祈祷が行われた。
*この時点でまだ現地に着けていませんので、写真は無しです。
そろそろサイトギに火が入れられる。
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水ごり

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先ほどお祓いを受けた男衆、下帯姿になりいよいよ出番となる。
井戸に移動し、しめ縄を張った樽から手桶で水を汲み、三回水をかぶる。

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裸参り

水ごりの水滴を一旦拭き取り、口紙を咥え腰蓑をした男衆は幣束を持って裸参りを開始する。
側道から一旦下がり、鳥居をくぐりながら石段を上り神社へ。
神前への参拝なので、観客がこの列を乱したり横切ることは許されない。

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三度の参拝をし、境内のお堂を巡る。

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先ほど奉納を済ませた権現様が観客の頭を噛んでいた。









火祭り

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井桁に組まれたサイトギは煌々と燃え上がり、その周りを男衆が取り囲む。

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長い棒を持った男衆は、法螺貝と太鼓の合図で棒を大きく揺さぶり、サイトギは高く火の粉を舞い上げる。

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三度サイトギが叩かれ揺さぶられる。
早稲・中稲・晩稲を占うとのこと。

のだが、泣きというかおまけというかのもう一回があったような感じがしている。きっとその場のファンサービスなのだろう。うん。

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この炎と煙の方向が神社の下側に流れると豊作、神社側に流れると凶作になると云われている。
先に出たオコモリの様子との2つの要素で占うのである。
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では、今年のサイトギの様子を、4分半にまとめた動画でもご覧下さい。







ご託宣によると、令和二年は平年作とのこと。
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豊穣であって欲しいですね。






では、また!



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